きみとぼく 第6話


サヨコは優秀なメイドだ。
メイドとしてだけではなく諜報員としても優秀で、天然な性格さえ無ければ彼女以上に有能な部下はいないと断言できるほど。ただ彼女の言動には問題があり、時々何を言っているか解らない事があるのだ。

「------、----の関係者にお話しした方が、よろしいでしょうか?・・・ゼロ様」

今もそうだ。こちらが理解できない言葉を使ってくる。
彼女が何を言ったのかよく解らなかったが、どうやら自分を呼んでいたらしい。ボーっとしていたわけではなく、二人の直前の会話もちゃんと理解しているが、時々彼女の言葉は理解できなくなる。
昨日より聞き取りにくい気がするのは気のせいだろうか?

「-----------してもよろしいでしょうか?」

再度聞かれるが、やはり解らない。確認なのは解るが、内容が解らないから何と返せばいいか解らない。意味の解らないそれはどこの言葉なのだろう?日本語とブリタニア語なら解るが、それ以外は解らない。ああ、モールス信号はわかるけど。
そういう時は大抵サヨコは辛そうな顔をする。
きっとその言葉は専門用語で、標準語でどう説明すればいいのか解らないのだろう。そうだ、皇帝ならいい言葉が浮かぶのでは?と思い見てみるが、こちらも何かショックを受けたような顔をしていた。
彼らにとってはごく普通の言葉なのかもしれない。
こういう事はロイドやセシルの方がいい答えを出す。
以前は彼らも解らない言葉を使ったが、今はそれがないから。
そう考えると、やはり彼らの間で使われる専門用語なのだろう。

「すまないがサヨコ、もう一度たのむ」

皇帝は先ほどの言葉を再度言うよう命じた。
無駄なのにと思いながら再び聞く。

「-------ことを--------ですが、-------------よろしいですか?」

さっきより聞き取れない。
つい、眉を寄せ不愉快そうな顔をしてしまった。それで皇帝もサヨコもこちらにまったく通じない事を理解してくれたから、まあいい。仮面をしてない事で少し油断してしまった。ゼロはこんな表情絶対にしないのに。

「ロイド様とセシル様に来ていただき、こちらの御三方を見ていただいた方がよろしいかと。お二人を、このお部屋にお呼びしてもよろしいでしょうか?」

なんだ、そんな簡単な話か。
なんでわけのわからない言葉で言ったんだろう?

「そうだな、一度見てもらった方がいい。皇帝だけではなくこの眼帯も故障してしまった。熱湯に入れてしまったからどこか部品が損傷した可能性が高い」
「故障、でございますか」

サヨコはどこか悲しげに言った。
機械仕掛けとはいえ可愛い彼らが壊れている事を知り、可哀そうだと思っているのだろう。女性は特に小さくて可愛いものに弱いから。

「そうだな、ロイドとセシルを呼んでゼロを見てもらおう」

皇帝が頷きながら言った。

「そのゼロは特に問題ないだろう?」

皇帝の言葉に、チビゼロだけは正常じゃないかと反論したが、緩く首を振って「いや、ゼロが一番壊れている」と言った。一番最後に落ちた眼帯がこれだけ壊れているのだから、チビゼロが壊れている可能性は確かにある。見た目では分からない重大な損傷をしていて、皇帝にはそれが解るのかもしれない。

「畏まりました」

サヨコは一礼し部屋を後にした。


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ここまで書いたらどんな舞台設定か解ると思うので今回だけ会話ネタばれ。(今後の分は面倒なので想像にお任せします)

・「(スザク様)、(ゼロレクイエム)の関係者にお話しした方が、よろしいでしょうか?……ゼロ様」
スザクという名前に対し無反応なため、ゼロ様と言い直す。
ルルーシュが(姿形人数がどうあれ)いるからつい昔通り呼んでしまった。

・「(ゼロレイクイエムを知る方々に連絡を)してもよろしいでしょうか?」
ゼロレクイエムの情報を拒絶。
先ほどよりも長い言葉を脳が遮断。

・「(ルルーシュ様の)ことを(治療したいの)ですが、(関係者に連絡をしても)よろしいですか?」
3人をルルーシュと認識していないし生物だと思いたくない。関係者→ゼロレクを連想するため全て反応なし。

・「ロイド様とセシル様に来ていただき~」
ロイドとセシルとはっきりと名前を示す。ちび三人を名前はともかく認識しているので、数で示す事で認識した。

ついでに3話はこんな感じでした。
・『(枢木スザク)。紅茶はないのか』

5話
・「サヨコ、すまないが(スザク)に紅茶をいれてあげて欲しい」


書くのが非常にめんどくさい前提条件でした・・・。

ちなみに皇帝が壊れていると言ったゼロは大きい方のゼロです。

5話
7話